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たった一つのたまごの話

4月の青には緑が混ざる

株式会社坪井食品

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4月の青には緑が混ざる

先週までの、もうこのままの色かと思わせる白茶けた芝生は、
嘘のように瑞々しさを得て新しい景色を作っている早朝に車を店の裏手に停め、従業員入口をくぐると、
準備をしているキッチンスタッフと挨拶を交わし、なんとなく店内を見まわしながら、連続する大きなアクリルの木枠のサッシのうち、一番奥の奥のものをスライドさせ外に出る。

テラスのソファに腰をかけ、いつもは子供や犬連れのお客さんが歩き回る(走り回る)店の庭を眺めると改めて芝生の緑色の鮮やかさに驚かされる。

特権的に一本だけタバコを吸う、心なしかタバコのフィルターを通して吸い込む空気まで少し水色を含んでいるような気がする。

繰り返す喜び

9時に近づくとチラホラとお客さんが訪れてくれる
数量限定のたまごかけご飯御膳が目当ての方もいれば、
テイクアウトで卵とコーヒーを買って帰る人もいるだろう

スタッフを集め声をかける
それぞれの持ち場の話、卵の売り方の話、、
再来週にはお店が一年のうちで一番忙しいと言われる大型連休がやってくるが
それに向けた仕込みの段取りなどを共有する。

開店を待っているお客様がその様子を見ていることで
皆の表情も引き締まり、自ずと背筋が伸びる
私は皆にこの田舎にあるこのお店が日本で最先端のお店なんだよ、と言い聞かし
それに伴う振る舞いを促しつつ、自分自身にも発破をかける。

雛の思い出

9時になると同時にサッシが開き、お客様が外の風と共に入店する。
店内は途端に外にあった賑やかさを手にいれお店のスタッフがそれに呼応する。

私はお店の一番手前にあるコーヒーと卵の販売スペースに立ち、席に着く前のお客様や、プラスチックのトレーを持って定期的に卵を買いに来てくれるお客様の対応をしているとあっという間に時間が過ぎていく

ふと顔をあげサッシの向こうに目を向けると懐かしい顔が階段のリズムと共に芝生から顔を出す。
頭、肩、腕、と徐々に全身が見えるようになるとともに、小中学校時代に一緒に過ごした思い出が蘇る。
店に近づくにつれてサッシのむこうの私に気付き笑顔をくれる、姿形が変わっても、
その瞬間のお互いはまだ小学生のままだ。

プロジェクト名:Once upon an egg
所在地:熊本県山鹿市

総合プロデュース:株式会社Cal
建築設計:矢橋徹建築設計事務所
フードコーディネート:堀田裕介(料理開拓人)
施工:豊建設株式会社
協力:ロゴ/グラフィックデザイン MMNH

2022年5月17日開業

https://onceuponanegg.jp
https://www.instagram.com/onceuponanegg2023